朝の読み聞かせ

子どものクラスに朝からお邪魔し、恒例の読み聞かせをしました。 PTAの自主活動で、毎週一回、保護者が本を音読するのです。
うちのクラスは希望する保護者が凄く多くて、順番が回ってこないくらいです(笑)
色々迷って今回チョイスしたは
「みんなのなやみ 2」重松清理論社)です。

みんなのなやみ〈2〉 (よりみちパン!セ)

みんなのなやみ〈2〉 (よりみちパン!セ)

図書館のヤングアダルト(10代)コーナーで目に入り、内容に強く引かれて、9〜10歳の子どもには多少難しいのは承知の上で、聞かせました。


「みんなは今年度で、全員10歳になるよね。20歳の成人になるまでの半分だね。これから色々と人には言えない悩みを持つこともあると思う。
例えば『自分の目は小さくて、美人ではない』とか、『サッカーをこんなに頑張っているのに、上手にならない』とか、思っている人もいるかもしれない。
それについて、沢山の小説を書いている、みんなのご両親と同世代の作家の人が、一緒に考えながらどうしたら良いかを語っている本です」


ある子は鼻をこすりながら後ろの子とおしゃべりしたり、よくわからない表情を浮かべていましたが、しっかりこちらを見て、うんうんと頷きながら真剣に聞いている子もいました。


私の10歳は、お気楽な部分も多かったけれど、毎日悩み多い小学4年生でした。
クラスでいじめられていたし、それを先生は(良い先生でしたが)子どもの人間関係だからとあんまり守ってくれなかったし。
その担任の熱血教師も、学校の他の先生からは浮いていて、クラスの子は他の教師からいじめられていたし。
肉体的な悩みもあったし。
母は子のみだしなみや気持ちのあり方には、あまり関心の無い冷たい親だったし…


本の内容は、身近で子どもらしい悩みから、人生においての耐え難い苦悩まで様々でした。
大人だってほとんど根っこは同じことで悩んでいるとも、私自身も思いました。


プロローグと、一番紹介したかった一つの回答しか読めませんでした。


「悩みを持っていることを否定しないで欲しい。全ての人は、なんらかの悩みを持つものだし、悩んでいる人でも、その存在が大切なんだ」
「悩みを持ったら、映画でも漫画でもいいけれど、もし良ければやはり、本、特に文学を読もう。古代から現代まで、世界中のあらゆる小説の中に、きっとあなたと同じ悩みが書かれている。優れた文学に描かれた悩みは、たとえその悩んでいる人が最後に死んでしまう内容だったとしても、それを読んだ人まで死んでしまおうと思わせるものはない」
という内容です。


本を読むことの、真理だと思います。


子ども達へは、こんなメッセージを提示しました。
「大人は本を読め!って言うよね?でも毎日、学校で過ごして、家に帰って宿題して、遊んだりTVを見たり、ご飯を食べて暮らしていれば、本を読まなくても生きていける。本を読むことの何がみんなのためになるかというのは、読めば頭がよくなるとか、成績が良くなるというだけではなく、それぞれみんなの悩みの答えが見つかる、という事です」


全ての子どもでなくてもいい。たった一人でも、本を読むことで自分の存在を殺したり、自分の将来を傷つけなくても良いんだと、感じてくれれば…と切に願った親心です。
当のうちの娘はまだ本当に幼く、悩みもあんまりないようですが、いつか目の前に壁が立ちはだかったとき、人生に光を与えてくれる本というものがあると、思い出して欲しいと思います。