箸のマナー(改)

朝のニュースで見て、一瞬目を疑ったシーンがあった。
海外で日本文化を学ぶ子どもが、日本の家庭にホームステイすると言う、内容は非常にほのぼのして良い話だったのだが、そのワンシーンで…

<後日注>
実はこの放送について、すぐにこのTV局に意見のメールを送ったのだが、即日のうちに大変に丁寧で、撮影時の状況を納得できる素晴らしい返信を頂いた。
ホームステイ先の大人の方も、勿論この番組のスタッフも、この箸遣いはマナーに即さないと知っていて、しかしそれよりも慣れない異国文化に出会って新鮮な驚きと喜びを表わす子ども達をまず受け入れ、黙って見守ったのだというのだ。
その微笑ましい交流の様子こそ、報道したかったのだと。
後ほど、それはマナー上は避けるべきことだと教えたという。
何と言う寛容の心。
目にしたワンシーンに目くじらを立てた私のほうこそ、反省させられた。
誤解とは言え、一時でも関係者の方々を批判してしまったことを深くお詫びし、内容を訂正します。


日本の納豆をその外国の子どもに出したらしい。箸から伸びるねばねばの糸を慣れない手つきで不思議そうに楽しそうに眺める皆。
「一粒あげる」
と、その子が箸につまんだ納豆一粒を差し出し、ホームステイ先の子どもも箸でその納豆一粒をはさんで受け取ったのだ。
「縁起が悪い」「お行儀が悪い」と食卓ではしてはいけない行為だと言う事に、その場の大人達は後ほど教えたそうである。

本来、箸から箸に物をはさんでやり取りするのは、仏事でのお骨(おこつ)でのみ許される。
火葬の場において、近親者が焼いたお骨をひろい、箸から箸に渡して骨壷に入れるのである。


「仏事百科」
http://www.butujihyakka.com/butuji/butuma/butuma2/manyu34.htm
「箸ギャラリー門」
http://www.gallery-mon.co.jp/hashi/kinjite.html


夫の友人家族数組で、食事に行った事がある。
その時に1人のママ友が、大皿から料理を取り分ける自分の娘をたしなめていて、感心した事がある。
「一つのお皿に、一緒に箸をつけて料理を取ってはダメよ。お箸とお箸が合うは縁起が悪いの」
私はこれは知らなかったのだが、調べてみると「二人箸」と言って、一つの皿や一つの食べ物を二人で同時につまんでは行けないというタブーから来ているのだった。
やはり上記のお骨ひろいの時に、一つの骨を二人ではさむ行為に由来していたのだ。
「箸と箸」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q118444611


こういったタブーやマナーは日本の、それも仏事だけに由来する物であり、同じ箸文化圏の他国にはない習慣である。
勿論反対に、他国ではごく一般的でも日本人が知らない習慣は多々あるであろう。
生まれた国のマナーでさえ、全部を知っているわけではない。


「知るは一時の恥じ、知らぬは一生の恥」
を肝に銘じて、更にスマートな大人になりたいと思った。