よしながふみ「大奥」２

大奥 (第2巻) (JETS COMICS (4302))

http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4592143027
久々に
「なかこの（泣かせやがってこのやろう！）」
大賞ですわ！（何回読んでも、毎回泣いちゃう）

今流行の
「感動の…」
「涙が止まりません…」
「全国で●万人が泣きました」
的なうたい文句の作品は毛嫌いしてしまう天邪鬼な私なのですが、こういうかっちりスマート（ある意味男らしい）な中にさくっと組み込んである泣きのツボに弱いのだ〜！

この人の作品は、そういうのが多いね。

行間、というか漫画だからコマ間を想像させる回想シーン、微妙な感情の移り変わりをほんの数コマで表現しちゃう技術と才能。
作品内の時間のコントロールが秀逸なのですね。
話自体も、設定が大変細かく作りこんであって重厚。しかもオシャレで色っぽい。（あの流し目、たまりませんわ〜♪）
ただ単純に男女を入れ替えたパロディと言うだけでなく、ジェンダー（って言葉、実はあんまり好きじゃない）意識を触発する深い内容。
設定の説得力が強くご都合主義的な強引な展開はなく、淡々と登場人物が描かれている中を読み進めていくとに、実は少しずつ大きな流れが見えてくるのです。

歴史、ＳＦ、ミステリーファンの期待も裏切らない出来です。

この巻は、三代将軍家光とお万の方のエピソードが描かれています。
時代は江戸時代の転換期。戦国の乱世が治まってやっと幕府の政治が固まってきた矢先に流行った恐ろしい病。
「国」「血筋」「制度」「権力者の思惑」が絡まって、翻弄される登場人物たち。

• 産む性と生ませる性はそのままに、社会上の立場を逆転させた時にどうなるか。
• それを強要される地位の人々の生活と感情はどう圧迫されるのか。
• 史実とのリンクが巧みなのに今後の展開が読めない。

張り巡らされた（意識的な設定なのか、後からつなげるのが上手いのか、多分両方）複線の時系列の関係が明らかになった時の嬉しい驚愕。

早く続きが読みたいです。

大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))

１巻の紹介ページ
http://www.hakusensha.co.jp/women/com.html