ゆれる

混んでました!
仕事定時ダッシュで行って、開演には間に合う時間だったのですが
「次の回ですとお立ち見で、しかも大変混みあって見づらいかもしれません…」
と窓口で言われ、レイトショーにしました。


ふらふらとウインドウショッピングをしたり、バーで一杯ひっかけてまた会場へ。
狭いロビーがギュウギュウでした。
幸い、整理番号がまあまあ前の方だったので、見やすい席で堪能しました。
ネタバレはしない主義なので、ムードだけの感想で。


いわゆる「サスペンス!」っていうような派手な映画ではないですが、人の心理の「ゆれ」具合を、絶妙に描いたサスペンス作品でした。
見ている間、胃がぎゅーっと掴まれて、ムカムカするような不安感、焦燥感にかられました。
登場人物全ての、立場・信頼・勢力バランス・性格・足許(物理的にも)…がゆれ始め、なにが本当でなにが嘘なのか、何を信じて何を疑うのかまでしだいに曖昧となって、どんどん危うくなってしまいます。


私は元々、自分の性格的にも
「世の中何があってもおかしくない。人の本心は判らないし、変わるもの」
と思っているので、人として普通の醜さ、ずるさや、もしかして…という疑問が尚更、リアルに感じました。
なにげない会話の中で、火花が散りそうな本心と裏腹な言葉のかけひきが描かれていて、怖いくらいでした。


注目は、何よりキムキム兄やんこと木村祐一の検事です!
ピエール瀧の存在感もちょっとキタけど、キム兄には敵わない!)


怖い顔、関西弁で追い詰め、時には怖い顔のままジョークをとばし、それでも容疑者を理詰めで責めていく鬼のような真面目な検事さんでした。
普段のお笑い番組を見ているので、つい最初は登場しただけでニヤリとしてしまったのですが、真面目そうな風貌と硬軟とりまぜた話術は、ピッタリだと思いました。


オダギリジョーは、まあオダギリジョーらしい役と言えば役なんですが…
田舎を飛び出して、カメラマンとして結構有名で、勝気でちゃらんぽらんな、モテる男「猛」。
対するのは、真面目一辺倒で温厚な長男「稔」。名前にも、二人の関係性が暗示されていると思いました。


この作品は、香川照之のゆれて壊れそうな兄役の「ゆらぎのない」演技力に支えられていると思います。
本当に素晴らしい演技でした。
http://movies.yahoo.co.jp/interview/200607/interview_20060706001.html