華岡青洲の妻 #4

小弁ちゃんの死には、同じ年頃の娘が居るだけにグッと胸が詰まって、涙してしまった。
家長・青洲の麻酔薬の実験・開発に家族中、特に母と妻が巻き込まれ、幼い娘に手が回らずに死なせてしまうという哀しい展開。


原作の登場人物達は、意外と利己的で冷たいのだが、今回の映像化に関しては、かなり「家族の姿」と「気持ちの交流」を丁寧に描いている。
小説では、青洲は嫁姑の功名心争いまでも利用し、人体実験を重ねた天才肌の偉人で、その陰に家族の様々な犠牲も有ったのだが、このドラマでは、家族の犠牲に心痛める彼の表情が多く見られる。
現代ではさすがに得心が行かない性格設定だと判断されたのかもしれない。


この変更は、かなり成功だと思う。


青洲の妻への愛、一心同体感は確固たるもので、既に母は入りこめない。
しかも、小弁を無くした加恵は、既に姑への闘争心は全くなく、純粋に夫の成功のみを考えている。
姑・於継の青洲への思い入れがだんだんと狂言回しのようになって、敗者の姿が哀れすぎる気もする。
最後にどういう終わらせ方をするのだろうか?
家族の犠牲で成功した利己的な兄・青洲、母と兄嫁の諍いを全て眺めて、皮肉な人生観を持って死んでいく妹・小陸は、どう描かれるのかが楽しみになってきた。