華岡青洲の妻 #2

凄く怖いです。女の確執が、静かで地味な脚本と演出の中で、音も立てずに燃え上がっている!
俳優の演技も隙がないし、セットやかつら、衣装まで、時代考証がしっくり物語り世界になじんでいて、大変に見応えのある時代劇だ。
ドラマを見ていて、久しぶりにゾクリとした。


渇望されて嫁入った家で、手のひらを返して冷酷な仕打ちをする姑。
美しいその姑・於継に憧れて、お下がりの糠袋(今で言う石鹸とたわし)を使っていた嫁・加江は、反旗を翻して自分で糠袋を縫い始める。
原作の中でもいくつもある緊迫したシーンの一つだが、登場人物の配置が絶妙な画面構成になっていた。
「もうおさがりは使わない。」と公言し、部屋で糠袋を縫う嫁。
部屋に入ってその言葉を聞き、平然さを保って家中の女たちの共用の鏡台で髪を直す姑。
その全てを見聞きしていて、二人の緊迫する間柄に緊張を隠せない小姑(義妹)。
ごくりと音が聞こえそうな程に、大きく喉仏を動かして唾を飲む加江・和久井映見の首筋を見ていて、正直背中が粟立った。

雲平・谷原章介の優しげな微笑と美しい声で、やはり救われる気がする。
これでちょっとでも「確執の原因の男」に嫌味な所があれば、見ていて登場人物の関係性にここまで実在感が出ないし、ドラマとしても品も出なかったであろう。


本当に、続きが楽しみな作品だ。