華岡青洲の妻 #1

これからがとても期待できる第1回だった。
原作以上に丁寧な脚本と演出で、二人の女の心情がよく理解できる作品になっていると思う。


お互いを知らず、顔も見ずに夫婦になるのは当たり前の時代、姑になる人からのたっての願いに、夫の人となりよりも「ああ、この人を母と呼びたい」と嫁入りを切に願う乙女心、恋を知らない娘心と、自ら選び出した嫁を、「縁」を感じて可愛がる優しく賢い義母。本心から、嫁を慈しんで教育していた日々。
しかし、自慢の長男息子であり、夫となるべき男が実際に帰宅した一瞬、理想が崩れた。
於継自身、きっと意識していなかった嫁への激しい嫉妬「大事な息子を渡したくない」という感情が瞬時に生まれてしまったのだろう。


私の中の原作のイメージ(所謂痩せ型で厳しい姑の典型的姿)より、はるかに美しく優しげな姑・於継。田中好子の、上品な演技が光っている。
この美しく優しい女性が、どんな恐ろしい顔を見せてくれるのか。女なら、誰でも持っているであろう嫉妬の眼差しが、来週から爆発する筈。


和久井映見は、やはりこういう抑えた役どころの表情の演技が上手い。
しかし、女優って凄いなぁと感じたのは、18歳と言われれば、本当に18歳に見えてしまうところ。アップでの可愛らしさに驚愕。実年齢は想像できない。


そして、絶妙なのは谷原章介のキャスティング。
出来が良い上に、こんなに笑顔が素敵で、ハンサムで格好良い息子なら、賢いはずの母が嫉妬に狂っても仕方がないかも、と納得してしまう(苦笑)