戦国自衛隊〜関ヶ原の戦い 第一部「さらば友よ」

時代劇なのか、SFなのか?
…ってのはどっちでもよろしい。面白かったので、後編も見ます。
http://www.ntv.co.jp/sengoku/


映画はカスだったらしい(あまりに周りの評判が悪いので、見に行きさえしなかった)が、TVの方はTVの良さを生かしていて、脚本も演出も最高級と言って良いかと。
説明的過ぎる台詞や、唐突なご都合主義な展開や装置もなく、真面目に、地味に役者の表情と体の動きとシーンで、お話を見せてくれて、とても魅了されました。


自衛隊の方の、武器の取り扱いのマニア的な考証はわからないのですが、時代劇としての設定が結構キチンとされていたのも、大変に好感を持てました。


特筆は、何しろ、キャスティングの妙!


いやいや、小早川秀秋が、藤原竜也ですよ!
乗馬姿、立ち姿、太刀の扱い、所作の美しいこと♪
惚れ直しました(え?いつ惚れたの?)


主役の反町隆史も、こういう硬派で堅い演技の役のほうが絶対良いですね。
私生活でも子供が出来たせいか、父性愛のにじみ出る温かい演技に、じーんと涙がこぼれました。
重厚感すら漂っています。
もっと演技力の薄い男だとちょっと見下していたのですが、とんでもないことでした。
申し訳なかったと一人心で謝る私。


渡部篤郎も、ちょっとキレるこういう役は、十八番です。
先がないという焦燥感と、それでも生きた証を残したいという純粋さと、男の野心。
この後どう動くのかがとても気になります。


戦国の世を生きる女たちも数多く出てきて、話に花を添えています。
単なるお飾りではなく、それぞれの事情がすっと心に納得できる、存在感のある役ばかりです。
特に、負けん気の強い辺見えみりの役と、隠れて住む姫君役の白石美帆が、大変に印象的。


戦車、ヘリコプターまで持っている小隊ですが、戦国の人海戦術に、どう見ても負けています。
戦場の描写が生々しくて、却って戦争というものの本質を描いていたと思います。
実際に剣で人を切るのではなくても、銃火器を使えば使うほど、使うものの手を血で汚していく感覚が、鋭く見るものに伝わってきました。
次々と倒れていく雑兵たち。それが風景ではなく、一人ひとりが生きていた人間であると、無言のうちに悟らせる迫力が、画面からにじみでいています。
それは勿論、戦闘シーンそのものの描き方の見事さもあるのですが、そこに至るまでの、丁寧に登場人物の心の機微を追っていった脚本の底の深さ、演出の厚みがあったからに他なりません。
派手なCGがなくても、最新の武器を描いていなくても、迫力の有る戦闘シーンが見所になりうるのです。
そして、見ていたものの奥歯に、砂をかむような本当の苦さを感じさせることも。


後編、本当に楽しみです。