台所のおと

台所のおと

台所のおと

「台所」と言っても、家庭の台所ではなく、小さいながらもれきとした和食の店の調理場。
器具の触れ合う音とそれを出す人の感情、記憶、思いを絡めた、丁寧だがどこか冷静な目で眺めた、涼やかな風がほうぅっと吹くような作品。他の作品も、どれも穏やか。
実は、幸田文という人は、文豪・幸田露伴の娘で、女性らしい細やかな作品を書く…位の一般的な知識しかなかった。
有名人の父を持った苦労をした女性なのだろう。控えめだが冷静な人なのだと感じた。